新型コロナウイルスの影響による長期休校を受け、政府が検討中の「9月入学」について、日本教育学会は22日、「拙速な9月入学論では、勉強の遅れを取り戻し、学力格差拡大を抑止する効果は期待できない」などとする提言を、安倍晋三首相と萩生田光一文部科学相宛てに提出した。
導入により各年代で入学時期が5カ月延び、6・5兆円前後の財政・家計負担が生じるとの試算も示した。現在の年長児と、9月1日生まれまでの年中児が合流して新小学1年生となる、文科省案の一つを元に試算。この対応に約2兆円、私立学校に納められるはずだった4~8月分の学費補塡(ほてん)に2兆円、家計負担が2・5兆円かかるなどとした。また、9月入学を導入せず、初年度は1・3兆円をかけて、子どもの学びの保障や心身のケアのために教職員を増員し、ICT(情報通信技術)環境を整備するべきだなどと提案した。
同会は3千人近い教育関係の研究者で構成。広田照幸会長は「9月入学を議論している場合じゃない。目の前の子どもたちが大変な状況にあるのだから、しっかりとした態勢を作ってほしい」と訴えた。(宮崎亮)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル